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航空歴史館 掲載11/10/14
追加11/11/11

  
防衛省に問う 救難機US-2の洋上迷彩塗装について


佐伯邦昭

防衛省大臣官房広報課から回答 
 

2011/10/13付け 防衛省への質問(電子メール)


防衛省に問います。

 海上自衛隊公式ホームページの装備品ギャラリー によりますと、新明和US-2は、US-1A、UH-60Jと共に「救難機」のカテゴリーに加えられています。

 また、岩国航空基地公式ホームページの部隊紹介第71航空隊には、次のように記載されています。

第71航空隊は、昭和51年7月に水陸両用の飛行艇、救難機US-1Aをもって開隊され、遭難航空機や遭難船舶の捜索及び乗員の救助、離島等からの急患輸送等を実施しています。
 平成19年3月30日には、US-2が部隊配備されました。
 US-1A/2は、岩国と厚木両基地に常時待機しており、はるか洋上の船舶乗組員や離島に住んでおられる人々にとっては心強い支えとなっています。

 7機体制で運用しておられる現状は、この文章のとおりもっぱら離島や洋上船舶からの急病人の移送です。

 そこで疑問に思いますのは、US-2において、US-1Aの高視認性(白と蛍光オレンジ)塗装を廃して低視認性の洋上塗装に改められたことです。その意図と効果をご教示ください。

 併せて、同じ救難機のカテゴリ-にあるシコルスキーUH-60Jの高視認性塗装との関連についてもご教示ください。


 

2011/11/08付け 回答(電子メール)


防衛省、広報課です。

回答が遅くなり申し訳ありません。

お問合せの件ですが、

  US2は、平時から有事に至る幅広い運用環境に迅速かつ柔軟に対応するため、見えにくい色を採用しました。

 ただし、機体下側の色は、従来のUS1Aの色と変化はなく、要救助者からの視認性に変わりはありません。

なお、US−1A及びUH60Jは、費用対効果の観点から塗り替えは実施していません。

      Ministry of Defense Public Affairs Dev. 防衛省大臣官房広報課


佐伯の個人的感想 (回答と感想を公表することは通告済みです)

1 回答そのものについて

 まずは、あきらめかけていたところへ26日ぶりに回答が来たことに安堵し、かつ(そのスローモー処理ぶりには)苦笑を禁じ得ません。でも、大臣官房が一国民の声に答えるという民主政治の姿を皆さんに披露できることは、とても好ましいことだと思っています。

2 回答の内容について

(1)  スローモー処理ぶりと皮肉りましたが、省内には質問者と同じ見解を持つ人もいて、或る程度の議論が起こり、その調整と作文に手間取ったためとも考えられます。
   
(2)  「平時から有事に至る幅広い運用環境に迅速かつ柔軟に対応するため、見えにくい色を採用しました」
 論理的におかしいです。「平時」という言葉を使いながら「見えにくい色を採用」ということに決定的な矛盾があるからです。「有事」においても、果たして「見えにくい色」でよいのかどうか、有事運用の研究がどのくらいなされているのか知りませんが、素人としては、有事救助活動においても視認性は必須条件だとしか考えられません。
   
(3)  「ただし、機体下側の色は、従来のUS1Aの色と変化はなく、要救助者からの視認性に変わりはありません」
 防衛省はUS1Aの艇底色に特に視認性があると考えているのでしょうか。そんなことはないでしょう。こじつけの議論に過ぎませんし、こんな国民を騙すような意見は控えて貰いたいです。
   
(4)  「US−1A及びUH60Jは、費用対効果の観点から塗り替えは実施していません」
 効果が非常に疑問視されるのに、費用対効果の観点をいうのは本末転倒です。もし、許容される費用があって全機洋上迷彩に塗り替えたとしたら、その効果たるや多大なるマイナス、物笑いの種にしかならないでしょう。
   
(5)  質問で発した岩国航空基地ホームページの「はるか洋上の船舶乗組員や離島に住んでおられる人々にとっては心強い支えとなっている」という現状の運用状況に関する見解を敢えて避けています。
 
 以上、洋上迷彩が間違っていましたとは口が裂けても言えないという中での苦心の回答文であると判断しました。しかし、矛盾だらけのロジックになっています。

 多分、本音で言いたいのは、自衛隊は有事救難が本務であり、平時の民間人搬送などは主任務じゃない、塗色なんぞに戦争を知らない平和ボケからケチを付けられたくないということでしょう。あるいは、下記でNPCさんが噂を聞いている米国の圧力かもしれません。

 電子メールによる往復では、残念ながらここまでの推定が限界です。皆さんの感想もお聞かせください。


2011/11/11  Zさんからメール

 US-2の迷彩ですが、個人的には軍用救難機も迷彩にするのが当然だろうと思っています。救難機は見つけてもらうのではなく、見つけるのが仕事ですから。遭難者に見つけられやすいということは、敵の目にもつきやすいということですからね。僕が遭難者だとしても、有事ならば「あんな派手な機体できやがって、助けられる前にやられちまう」と不安になるかもしれません。

 電子センサーの発達した時代に迷彩にいかほどの効果があるのかということもあるかもしれませんが、僕が救難機のパイロットだとして、100回に1回でも迷彩のおかげで相手が見失ってくれることがあれば、自分の機体には迷彩をほどこします。現行のUS-1Aのような派手な色で飛べといわれたら、「立派に死んでこい」といわれたような気分になるでしょうね。

 いまは有事とはいえないでしょうが、それは戦争をしていないというだけであって、いつでも潜水艦や不審船はうろうろしているわけですし、小競り合いも絶えない。自衛隊としては有事に準じた備えた(塗装)をするのは当然と思います。もちろん、好き嫌いでいえばUS-1の派手な塗装は好きですけど。

佐伯から : ありがとうございます。
 これについては、防衛省も、Zさんのように軍用救難機としての理論をもって答えてくれたら、違う対応になりました。「平時」という言葉を公式に用いているから論理的におかしくなっているのです。有事視認性を否定しながら、底の塗装に救難機視認性があるがごとき答えも噴飯ものです。

 岩国航空基地のホームページにあるように、現実には平時運用が100%であって、7機体制を有事で使うなんてあまり考えられないのが実態ですから、「平時から有事に至る幅広い運用環境」という説明には余程の説得力が必要です。防衛省の若い事務官に説明させるのは無理かもしれませんね。

 まあ、私の持論は、あっさり、海保所管のJAナンバー機にして、巡視船との連携を図る方がはるかに現実的だし、武器輸出三原則に触れずに輸出もできて新明和も助かるだろうということです。有事にはウエットで徴用できるように法律をこしらえておくとか。海自岩国の第71航空隊をそっくり海上保安庁岩国航空基地に変えて、厚木待機の機体は羽田待機にしてしまえ、なんて言ったら笑われますか。

 なお、石破元防衛相HPのご意見欄にも疑問をぶつけていますが、まだ答えがきません。必ず読みますと書いてあるので、読んではおられるとは思いますが、きっと困っているのでしょうね。

 

高視認塗装と低視認塗装の比較

撮影 2011/09/21 10:52 岩国航空基地祭にて


少し暗くすると‥‥ 

 


防衛省に問います。

 海上自衛隊公式ホームページの装備品ギャラリー によりますと、新明和US-2は、US-1A、UH-60Jと共に「救難機」のカテゴリーに加えられています。

 また、岩国航空基地公式ホームページの部隊紹介第71航空隊には、次のように記載されています。

第71航空隊は、昭和51年7月に水陸両用の飛行艇、救難機US-1Aをもって開隊され、遭難航空機や遭難船舶の捜索及び乗員の救助、離島等からの急患輸送等を実施しています。
 平成19年3月30日には、US-2が部隊配備されました。
 US-1A/2は、岩国と厚木両基地に常時待機しており、はるか洋上の船舶乗組員や離島に住んでおられる人々にとっては心強い支えとなっています。

 7機体制で運用しておられる現状は、この文章のとおりもっぱら離島や洋上船舶からの急病人の移送です。

 そこで疑問に思いますのは、US-2において、US-1Aの高視認性(白と蛍光オレンジ)塗装を廃して低視認性の洋上塗装に改められたことです。その意図と効果をご教示ください。

 併せて、同じ救難機のカテゴリ-にあるシコルスキーUH-60Jの高視認性塗装との関連についてもご教示ください。

日替わりメモ2011/10/13から

  救難機と練習機に蛍光オレンジが使われている理由は、空中での高視認性を必須条件としているからでしょう。後にも先にもそれ以外の理由は無いと思います。

 ところが、海上自衛隊は、新明和US-2の塗装を、殊更に低視認の洋上迷彩としています。海自公式ホームページの装備品ギャラリーでは、US-1A、UH-60Jと共に「救難機」のカテゴリーに入れているのに、US-2だけが異なります。 http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/aircraft/kyunan/index.html

 敵中に強行突入して、見つけられないように救援に当たるための迷彩なのでしょうかね。そんな場面が来ないとは断言できませんよ。しかし、 巡航500Km/h程度、あるいは離着水に大変な困難を伴う巨体に迷彩を施したところで如何ほどの効果があるのか、ナンセンスのような気がしてなりません。

 US-1Aとともに7機体制で運用している現状は、もっぱら離島や洋上船舶からの急病人の移送であり、救助される方からみれば、紅白の機体の方を早く見つけられるし、ロービジの暗い機体よりも安心感という意味で大きな違いがあるでしょう。

 同じ救難機のUH-60Jに対する考え方はどうなのでしょうか。救助者からの高視認性を犠牲にする洋上迷彩についての考え方を聞きたいです。

              (試作1号機の白に丹頂赤、同2号機の白に青の印象を忘れられないマニアより)

  

 


日替わりメモ2011/10/14から

 昨日の日替わりメモの救難機の塗装の件、自分も納得いきません。

 自衛隊での運用を考えると洋上迷彩にして視認性を下げる意味が分かりません。

 コンバットレスキューを意識して・・・という事でしょうが救難機側が発見する事、が大前提でしょうが救難される側に発見されやすくする意味で空自のホワイト/イエロー塗装、海自のホワイト/レッド塗装は利にかなっていたと思います

 コンバットレスキューを意識してというならば現在進めている洋上迷彩に機首、翼端等にテグロウのオレンジやらレッド塗装とし、有事?の際には塗りつぶすなんて事はできないのかな?とも思います。ま、迷彩化は米軍からの依頼だとかいろいろ話はありますし、諸事情があるのでしょうが‥。

 素人考えですがどんなもんですかね〜   (NPCさんより)
 

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