伝説の時代から現代まで 航空史抜き書き

 

航空歴史館 掲載05/05/01

 

ツエッペリンNT YOKOSO JAPAN号の技術聞きかじり

 

2005/04/26に広島市南区出島埋立地で鞄本飛行船運行部吉岡秀樹飛行長にお聞きしたことその他の資料からまとめました 文責:佐伯邦昭

 

経緯

2004 D-LZZR 登録
2004/06 JA101Z  登録
2004/06/12 鞄本飛行船がツエッペリン社から引渡しを受ける
2004/06/18 パリ シャネブイ飛行場を出発、ロシア経由で日本へ向かう
2004/  ロシアにおいて冬季飛行困難と判断し、西ドイツへ引き返す
2004/11/11 ツエッペリン社飛行場からイタリアへ回航
2004/12/09 南イタリアで船舶に搭載し、日本へ出発
2005/01/12 神戸港六甲アイランドに到着 陸揚げ 
2005/01/13 埼玉県桶川飛行場へ回航 航空局検査

要目

構造 半硬式(骨組み等カーボンファイバー及びジョイントアルミ)
ガス ヘリュウム
エンジン ライカミング200hp 3基
全長75.0m 全幅19.5m 全高17.5m エンベロープ容積8225㎥
積載過重1900kg 最大離陸重量8040kg
最高速度125km/h 最大航続距離900km
定員 14(うち乗員2)
 エンジンは胴体両側と後部とで3基ある

 後部のプロペラは、右が下向き90度の範囲内で動き 推進と低速時の上昇降下をコントロールする

 左の横向きプロペラはピッチを変更することで船体を左右方向にコントロールする

 二つのプロペラは後部エンジンにギアで連絡している

 離陸上昇を開始したときの後部のプロペラは、真下を向いている
 上昇すると後部のプロペラは 前進推進力 もしくはリバースピッチにより後退推進に切り替えられる 
 この飛行船では垂直安定板とスタビライザーにある3枚の動翼をいずれもラダーと呼んでいる

 スタビライザーのラダーは固定翼機のエルロンと同じように左右が反対に動き、後部横のプロペラなどと連動してさまざまな動きを可能にしている

 JAナンバーが示すように 航空法に基づく使用事業許可と航空機登録を行っており れっきとした日本の航空船である

 

 胴体左右の2基のエンジンの間に燃料タンクが通してあり、強度を保持している
 左右のプロペラは、水平位置から上向きに120度回転し、上昇やホバリングのほか、リバースピッチで後退もできる

 

 船底に空気室が2室あり 飛行中双方の空気を出し入れして浮心点(重心)の調節を行っている

 この写真は取り入れ口のファン

 空気室の排出口 手で支えている蓋に蛇腹がついており、リモコンで下げて空気を排出すると自動的に閉まる
 ゴンドラはエンジンからかなり離れた位置にあるので、非常に静かで乗り心地は快適だという

 ゴンドラの底には水タンクが内蔵され 搭乗重量に応じて離陸寸前に適量を排出して規定重量にする

 尾輪は自由回転

 ほんの微風でも繋留マストを中心に船体が動いている

 75mの船体を繋留するためにはその倍以上の直径の円面積が必要で 着陸地を探すのが一苦労と思うが 上空から見ると広島市内でも3箇所の適地があったそうで  意外に広い更地があるものである

 なお 尾輪も前輪も引き込み式ではない(大した空気抵抗にならないためか)

 繋留マストは地上から約13mのところで船の先端に連結している

 解除は、下からリモコンで行う

 マスト専用の自動車は、日野トラックを昭和飛行機で特装したもので、重量は25トンもある
 関空二期工事埋立地へ向かう準備中のマストトラック

 熊谷ナンバーなど数台のマイクロバスなどとともに出て行ったが 念のため これよりひと回り小さいマストトラックが先乗りで待機しているそうである

 のんびり ゆったりと表現するものの ライカミングエンジンの音も結構響くし あっという間に遠ざかっていく感じで やはり航空機の一種であることに違いはない