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 王子航空機株式会社江別製作所 現況報告書 昭和二十年四月二十六日 (復刻版)

 OKUBO

 

日替わりメモ090502

○  北海道王子製の木製戦闘機立川キ-106について

 キ-84 疾風の木製化、キー106を製造した王子航空機株式会社江別製作所が昭和20年4月に作成した現況報告書の復刻版を発表しました。終戦後軍部の焼却命令を無視して文書図面を鉄の容器に入れて秘匿していたものが、河川改修現場から発見され、水浸しの資料の中からOKUBOさんが不明瞭かつ旧漢字仮名遣いの文書を判読して新たにタイプしたものです。

 わずかな期間に製紙工場から航空機工場へ転換させられ、作業の主体は中・女学生で、接着剤等を新規に開発しながら、しかも資材枯渇に苦しみながら戦闘機を作った史上稀有な歴史の実態が詳細な報告書によって明らかになりました。完成したのはわずか3機ですが、その割には大規模かつ周到な組織や工場や宿舎が確立されており、機器と原材料の隅々まできちっと把握されていることに驚きます。製紙工場自体の土台があったからとは思いますが、とんだ無茶な要請であろうが何であろうが、受けて立たざるを得なかった当時の多くの国民と企業の洗脳状態をも見ることができます。

 OKUBOさんが復刻の作業過程で感じられたことを数点紹介しておきます。

・ 生産計画が、当初月産50機とされていたが、その後縮小されている。工作機械や資材などすべてが不足し、その窮状を訴えているが、補充が思うようにいかないことが原因であろう。

・ 生産割り当てに到達できないのは会社の不徳によるものとしているのは、陸軍との力関係で不本意な書き方をせざるを得なかったのであろう。

・ 本州の航空機工場で数か月の実習を受けたとはいえ、素人の旧制中等学校2〜3年生や婦女子が前例のない木製戦闘機を作り上げたことは、むしろ賞讃に価する思う。同年配で学徒動員に明け暮れしたOKUBOさんには、その苦労がよくわかる。

・ 20年4月26日現在で12機までの部品完了と記載があるので、終戦時までは相当数が組み上がっていたのではないかと推測される。

 なお、報告書中の「五、生産状況」に注目して頂きたいと思います。第四号機までの完成と予定が書いてあります。このうち、終戦時に完成した第三号機を黒江保彦少佐が福生までフェリーした日付について議論があり、航空歴史館総目次に載せていましたが、今回、まとめて北海道のページに移しましたので、引き続き検証をお願いします。第四号機は飛行まで至らなかったようです。